1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が20周年を迎えました。NASAのサイトには20周年を記念して、さまざまな画像がアップされています。
そのうちの一つが、南天の著名なカリーナ星雲の一部を、昨年搭載された新しいカメラWFC3で撮影した右の画像です。カリーナ星雲は太陽の100倍の質量を持つ超巨大星エータ・カリーナといくつかの星団(Tr 14, 16, etc...)が母体のガス雲を蒸発(電離)させながら輝いている南天の印象的な星雲で、ガスの濃い部分を残して薄い部分が選択的に電離していった結果、このような柱状の構造が形作られました。
画像にはハービック・ハロー天体 HH901とHH902が写っています。ハービック・ハロー天体は太陽の二倍程度の星が生まれる時に出すジェットで、画像ではジェットと周囲のガスとの間に発生している衝撃波による傘状の発光も鮮明に見て取れます。
この天体の存在が、今でもここで星が生まれていることを示しています。
打ち上げ当初のピンぼけ問題を初めとして、さまざまな困難を克服して結果を出し続けているハッブル望遠鏡です。近年は老朽化が激しかったものの、2009年5月に大規模な改修を行い、新たに二つのカメラを搭載して活動を続けています。
次世代のJames Webb宇宙望遠鏡との関係も気になりますが、まだまだ現役でがんばって行くんでしょうね。
2010年4月29日木曜日
2010年4月23日金曜日
Solar Dynamics Observatory
BBCでNASAの太陽探査衛星(Solar Dynamics Observatory; SDO)のファーストライトのニュースが紹介されていました(BBCの記事)。
アナウンサーがNASAのページもぜひ見るようしつこく勧めていたので見てみました。
SDOプロジェクト(NASA)のサイト
すごい!プロミネンスが立ち上がる様子がクローズアップで動画で見られます。
確かに印象的でお薦めです。
SDOに関しては、また改めて紹介しますね。
アナウンサーがNASAのページもぜひ見るようしつこく勧めていたので見てみました。
SDOプロジェクト(NASA)のサイト
すごい!プロミネンスが立ち上がる様子がクローズアップで動画で見られます。
確かに印象的でお薦めです。
SDOに関しては、また改めて紹介しますね。
2010年4月9日金曜日
2010年のスペースミッション
2010年の宇宙探査の主なイベントカレンダーは以下の通りです。
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1月
2009年12月9日に打ち上げられたWISE赤外線探査衛星の軌道上でのテストが終了
2月
SDO (Solar Dynaics Observatory)が静止軌道を離脱し太陽探査へ向かう
5月
金星気候探査衛星「あかつき」が打ち上げ予定
6月
「はやぶさ」が7年間の旅を終え帰還予定。小惑星表面のサンプルとともにオーストラリアの砂漠に着陸する。
7月
2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸(!)を目指すRosetta衛星が大型小惑星21 Lutetiaに接近。11月に最後の地球接近通過をおこなう予定。
10月
Deep Impact衛星が再利用され(EPOXIミッション)、103P/Hartley-2彗星探査のため近傍に到着する。
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その他にも多くの探査機が現在も活動を続けています。
地球周回軌道:
すごい時代になったものですね。
参考: 'Space Astronomy in 2010' by Jonathan McDowell, Sky & Telescope誌2月号
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1月
2009年12月9日に打ち上げられたWISE赤外線探査衛星の軌道上でのテストが終了
2月
SDO (Solar Dynaics Observatory)が静止軌道を離脱し太陽探査へ向かう
5月
金星気候探査衛星「あかつき」が打ち上げ予定
6月
「はやぶさ」が7年間の旅を終え帰還予定。小惑星表面のサンプルとともにオーストラリアの砂漠に着陸する。
7月
2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸(!)を目指すRosetta衛星が大型小惑星21 Lutetiaに接近。11月に最後の地球接近通過をおこなう予定。
10月
Deep Impact衛星が再利用され(EPOXIミッション)、103P/Hartley-2彗星探査のため近傍に到着する。
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その他にも多くの探査機が現在も活動を続けています。
地球周回軌道:
- 可視光、赤外線、紫外線観測衛星
- ハッブル宇宙望遠鏡, MOST, COROT, あかり(AKARI)
- X線観測衛星
- Chandra, XMM-Newton, すざく(SUZAKU), Rossi XTE, MAXIパッケージ(国際宇宙ステーション)
- ガンマ線観測衛星
- Fermi, Integral
- 太陽観測衛星
- SDO, Koronas-Foton, TRACE, SORCE, RHESSI, ひので, ESA Solarパッケージ(国際宇宙ステーション)
- その他
- IBEX(太陽系境界のマッピング)、PAMELAミッション(Rewurs-DK衛星; 宇宙線の観測装置)
- 太陽観測衛星(L1)
- SOHO, ACE
- 宇宙背景放射(L2)
- WMAP, Planck
- 遠赤外線観測(L2)
- Herschel
- 月面探査
- Lunar Reconnaissance Orbiter
- Kepler (太陽系外惑星探査)
- Spitzer (赤外線観測)
- STEREO A, B (太陽観測)
- Rosetta (彗星探査)
- EPOXI (彗星探査)
- Stardust (彗星探査)
- Dawn (小惑星ベスタ、セレス)
- Messenger (水星探査)
- New Horizons (冥王星、カイパーベルト)
- 表面
- Opportunity, Spirit(稼働不能)
- 周回軌道
- Mars Odyssey, Mars Express, Mars Reconnaissance Orbiter
- Venus Express
- Cassini 13年を経てなお稼働中
- ボイジャー1号、2号
すごい時代になったものですね。
参考: 'Space Astronomy in 2010' by Jonathan McDowell, Sky & Telescope誌2月号
2010年2月3日水曜日
2010年1月15日金曜日
百人一酒
古本屋で懐かしいタイトルを見つけました。
「百人一酒」(俵万智)。
数年前にウェブで連載されていて、お酒にまつわる話が綴られていていました。
本には朝日新聞大阪の夕刊に連載とあるので、ウェブ版は再掲だったのですね。自分がお酒がすきなこともあり愛読していました。
改めて読み直してみて、俵万智さんの文体が軽妙で、やはり楽しく読めました。
本の最後に「なんだかお酒が飲みたくなってくだされば、本望です」とありますが、私、我慢できなくなり焼酎のお湯割を晩酌としていただいてしまいました。
もちろん、お湯を先に注いで作りましたよ。鹿児島県人ですから、常識です。
思えば、若いころは「焼酎本来の味がわかるロック以外は認めない」などと思っていたのですが、「お湯割も香りが引き立っていいかも」などと思えるのは年のせいですかね。。。
引き出しがひとつ増えたと解釈しておきます。
2010年1月11日月曜日
ハーシェル始動
遠赤外/サブミリ波つながりでもうひと記事。
2009年5月14日に打ち上げられたハーシェル衛星(Herschel Space Observatory)で取得された最初の画像がESA(European Space Agency)により公開されました。口径3.5mの同衛星は、現時点で最も大きな宇宙望遠鏡です。開発中のコードネームFIRST(Far Infrared and Sub-millimetre Telescope)が示しているように、遠赤外線およびサブミリ波帯を観測するための望遠鏡です。
公開されたのは冷たい星雲の素晴らしいモザイク画像です。下の画像は、天の川の中心線付近の南十字星のなかの差し渡し2度の領域のもので、青が波長70ミクロン、緑が160ミクロン、赤が250と350、500ミクロンを重ね合わせたものとして合成した画像です。
遠赤外/サブミリ波のイメージとしては初めての鮮明さでとられた画像です。
可視光では暗黒星雲として見える星雲ですが、遠赤外/サブミリ波では輝く星雲のように見えています。光っているのは、ほとんどが非常に冷たい星間塵(ちり)が発する微弱な熱放射です。
このような星雲はこの波長ではほぼ透明で、所々に紐につながれた真珠のような明るい点が見られますが(中心の白い四角の中)、最も密度が高い部分にあたり、冷たいフィラメントに深く埋もれた星形成が起きている領域が捉えられています。
うーん、美しい。
2009年5月14日に打ち上げられたハーシェル衛星(Herschel Space Observatory)で取得された最初の画像がESA(European Space Agency)により公開されました。口径3.5mの同衛星は、現時点で最も大きな宇宙望遠鏡です。開発中のコードネームFIRST(Far Infrared and Sub-millimetre Telescope)が示しているように、遠赤外線およびサブミリ波帯を観測するための望遠鏡です。
公開されたのは冷たい星雲の素晴らしいモザイク画像です。下の画像は、天の川の中心線付近の南十字星のなかの差し渡し2度の領域のもので、青が波長70ミクロン、緑が160ミクロン、赤が250と350、500ミクロンを重ね合わせたものとして合成した画像です。
遠赤外/サブミリ波のイメージとしては初めての鮮明さでとられた画像です。
可視光では暗黒星雲として見える星雲ですが、遠赤外/サブミリ波では輝く星雲のように見えています。光っているのは、ほとんどが非常に冷たい星間塵(ちり)が発する微弱な熱放射です。
このような星雲はこの波長ではほぼ透明で、所々に紐につながれた真珠のような明るい点が見られますが(中心の白い四角の中)、最も密度が高い部分にあたり、冷たいフィラメントに深く埋もれた星形成が起きている領域が捉えられています。
- Herschel's First Show (Sky and Telescope, 2010年1月号)
- http://www.skyandtelescope.com/community/skyblog/newsblog/63275062.html
うーん、美しい。
2010年1月7日木曜日
ALMA Progressing
以前、一緒に仕事をさせていただいていた望遠鏡がSky & Telescope誌に紹介されていました。
ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) は、波長350ミクロンから9ミリ(遠赤外線からミリ波帯)までを観測可能な望遠鏡です。口径12mおよび7mの望遠鏡66機を18.5kmまで展開した観測装置で、角分解能はハッブル望遠鏡の10倍に相当する0.02秒角を達成でき、完成すれば世界で最もパワフルなイメージング望遠鏡となります。
現在、南米チリのアンデス山脈の一角、標高5000mのチャナントール(Chafnantor)エリアで建設中ですが、その最初の12m望遠鏡(重さ100トン)がサイトに到着しました。
標高5000mというと、大気の厚さの約半分まで上ってきており(気圧570hPa)、大部分の水蒸気も見下ろす高度にあたります。そのため、大気の影響が極力抑えられ、装置の性能が遺憾なく発揮できると期待されています。
現在のプランでは、2010年初期に三基のアンテナで干渉計を形成したテストを行い、さらに数台を加えた構成で2011年の第二四半期からの部分的な科学運用をへて、2012年には全望遠鏡を完成させる予定です。
ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) は、波長350ミクロンから9ミリ(遠赤外線からミリ波帯)までを観測可能な望遠鏡です。口径12mおよび7mの望遠鏡66機を18.5kmまで展開した観測装置で、角分解能はハッブル望遠鏡の10倍に相当する0.02秒角を達成でき、完成すれば世界で最もパワフルなイメージング望遠鏡となります。
現在、南米チリのアンデス山脈の一角、標高5000mのチャナントール(Chafnantor)エリアで建設中ですが、その最初の12m望遠鏡(重さ100トン)がサイトに到着しました。
望遠鏡は、まず標高2900mにある山麓施設で組上げられ、さまざまなテストを経て、写真のような巨大な台車によって5000mの観測サイトへ運搬/設置されます。
標高5000mというと、大気の厚さの約半分まで上ってきており(気圧570hPa)、大部分の水蒸気も見下ろす高度にあたります。そのため、大気の影響が極力抑えられ、装置の性能が遺憾なく発揮できると期待されています。
現在のプランでは、2010年初期に三基のアンテナで干渉計を形成したテストを行い、さらに数台を加えた構成で2011年の第二四半期からの部分的な科学運用をへて、2012年には全望遠鏡を完成させる予定です。
- ALMA Progressing (Sky & Telescope 2009年1月号)
- 参考リンク: http://www.skyandtelescope.com/community/skyblog/newsblog/60925167.html
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