ビッグバンの後、宇宙は膨張し冷却され、成長する暗黒物質(ダークマター)の塊による重力の高まりとともに、水素とヘリウムでみたされていました。理論によると、ビッグバンの一億年後(赤方偏移=30)にまず大きな星が生まれました。これらの星は早々に超新星爆発を起こし、比較的小さなダークマターの塊を全て吹き飛ばすため、周辺で星が作られる可能性は無くなります。しかし、2.5億年後(赤方偏移=16)には、さまざまな大きさでガス雲の収縮が始まり急速に星が作られだします。そして、最初の銀河が誕生します。
Hubble Ultra-Deep Fieldにみられる初期銀河は、現在の標準的な銀河より小さく、球状星団より大きい程度です。それらは列車事故の残骸のような小さくてたわいない塊の集合に過ぎません。その質量の測定は困難ですが、われわれの天の川銀河より小さいことは明らかです。しかし、これらの銀河が通常の銀河に進化していき、銀河のハッブル分類を形作っていくのです。
銀河は段階的な合体によって成長していきます。比較的近傍の銀河の中には明らかに重力的な相互作用を起こし、潮汐力で引きはがされたガス/星によるしっぽのような長い構造やリング状構造が見られるものがあり、最近の銀河間衝突の結果であると考えられています。数億個の星の重力的な相互作用を追跡するスーパーコンピュータによるシミュレーションによると、二つの巨大渦巻き銀河が衝突すると、観測されている合体銀河のような形状になることが示されています。そのシミュレーションでは、最終的に銀河は楕円銀河になっていきます。
渦巻き銀河や楕円銀河は、宇宙の歴史を通じて合体を繰り返すことにより成長します。渦巻き銀河は合体により楕円銀河となっていき、楕円銀河は乙女座銀河団のM87のような、銀河団の中心に位置する巨大銀河となっていきます。このようにして、初期宇宙で形成された小銀河は今日みられるような巨大な銀河になっていったのです。数百の小銀河が合体して天の川銀河が形作られたのです。宇宙で最初の銀河が暗いのは、遠方にあるからだけでなく、小さいことも原因の一つです。
- 'Finding the First Galaxies', Jonathan P. GARDNER, Sky & Telescope 2010年1月
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