ギリシャ神話の参考文献として、ホメロスの「オデュッセイア」「イリアス」、ヘシオドスの「神統記」等に並んで有名な「変身物語」を紹介します。
古代ローマの詩人オウィディウス(前43-後18)によって、今からおよそ2000年前に著されたギリシャ・ローマ神話の集大成です。全15巻に250もの物語が含まれています。ローマ神話固有の部分としては、ラテン語で記述されている点、ローマの創始者ロムルスや帝政を布いたカエサルを神格化するくだり、イタリアにあるギリシャの植民地クロトンにすんでいたピタゴラスに関する記述のみです。ローマの人々がギリシャ神話をほとんどそのまま取り込んでいたことがうかがえます。
変身物語というタイトルは、神とかかわりを持った人々が動物や植物、岩などに姿を変えられる話を集めていることから由来しています。もとはバラバラであったであろう逸話を巧みにつなぎ合わせひとつの物語としてまとめ上げてられています。白鳥、猿、カエルやかわせみほか、さまざまな動物の由来となる変身に関する物語が収められています。
変身させられる理由はほとんどが理不尽で、たとえば全能の神ゼウスによって無理やり愛人にさせられた女性が、ゼウスの正妻ヘラの嫉妬から変身させられてしまうパターンが多くみられます。つねづねギリシャの神様は心が狭いなあと思っていましたが、自然を司る神に対する畏敬の念が根底にあるのでしょう。
二千年前の書物でありながら、その豊かな表現力に感嘆させられます。星座やギリシャ神話に興味のある方にはお薦めの二冊です。
文中の神々はローマ名で記述されています。主なギリシャ神との対応は以下の通りです。
ゼウス -> ユピテル
ヘラ -> ユノー
アプロディテ -> ウェヌス
アテナ -> ミネルバ
アルテミス -> ディアナ
ポセイドン -> ネプトゥーヌス
ヘルメス -> メルクリウス
デメテル -> ケレス
エロス -> クピード
ローマの言葉「ラテン語」は英語の元になった言語のため、惑星や衛星などに使われている英語表記とギリシャの神々との対応を類推することができるのも面白いです。
2010年11月7日日曜日
超高速度星の起源
宇宙には、秒速数百キロ以上という速度で移動する「超高速度星(hypervelocity star)」と呼ばれる星が存在します。そのような天体が発見されてわずか5年、現在までに約18個の超高速度星が発見されています。これらは、いずれ銀河系を飛び出し、銀河と銀河の間の空間を永遠にさまようことになるでしょう。そのような超高速度になりえるのは、銀河系内の1億個に一つの星だけです。超高速度星の発見は、近年の高い精度での探査によって可能になりました。
星をそのような高速で放り出すメカニズムはいくつか提唱されていますが、最も信憑性の高い説は、非常に特別な場所で起こる現象によるものです。二重星が銀河系中心に存在する超大型ブラックホールに近付き、 片方の星がブラックホールに捕まって二重星が分離すると、他方の星が超高速で放り出されるというわけです。現在見つかっている18個の超高速度星のうちほとんどがこのメカニズムで説明できると考えられています。
超高速度星'HE 0437-5439'は、既に20万光年の彼方、大マゼラン雲の近くにあります。天文学者のなかには、星の科学組成から銀河系ではなく、大マゼラン雲から来たのではないかという人たちもいます。しかしWarren Brown(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)の率いるグループによる星の固有運動の計測によって、そのような説は否定されました。3.5年間隔で取得されたハッブル望遠鏡による高分解能撮像によって、この星が大マゼラン雲ではなく、射手座の銀河系中心からやってきたことが示されたのです。
HE 0437-5439は秒速723キロ(時速260万キロ)の超スピードで太陽から遠ざかっています。それでも、現在の位置にやってくるには1億年ほどかかる計算になります。
これは少々厄介な問題があることを示しています。星のスペクトルから、この星は太陽の9倍の質量を持つ主系列B型星で、若い星であると考えられています。このタイプの星は、通常2000万年以上の寿命を持つことができません。
Brownらは、もともと近接した二重星と離れた三番目の星からなる三重星として、我々の天の川銀河の中心付近で生まれたのではないかと提案しています。そして、 三番目の星がブラックホールに捕まり、近接二重星が高速度星として放り出されたとしています。銀河系を飛び出したあと、二重星は片方(または両方)が膨張し、他方を飲み込み、合体して新しい一つの星として再生したというのです。このような星は球状星団の中にみられ、'blue straggler(青いはぐれ星)'として知られています。
チームは現在、銀河系の外に遠ざかりつつある他の四つの高速度星の起源の解明に取り組んでいます。
星をそのような高速で放り出すメカニズムはいくつか提唱されていますが、最も信憑性の高い説は、非常に特別な場所で起こる現象によるものです。二重星が銀河系中心に存在する超大型ブラックホールに近付き、 片方の星がブラックホールに捕まって二重星が分離すると、他方の星が超高速で放り出されるというわけです。現在見つかっている18個の超高速度星のうちほとんどがこのメカニズムで説明できると考えられています。
超高速度星'HE 0437-5439'は、既に20万光年の彼方、大マゼラン雲の近くにあります。天文学者のなかには、星の科学組成から銀河系ではなく、大マゼラン雲から来たのではないかという人たちもいます。しかしWarren Brown(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)の率いるグループによる星の固有運動の計測によって、そのような説は否定されました。3.5年間隔で取得されたハッブル望遠鏡による高分解能撮像によって、この星が大マゼラン雲ではなく、射手座の銀河系中心からやってきたことが示されたのです。
HE 0437-5439は秒速723キロ(時速260万キロ)の超スピードで太陽から遠ざかっています。それでも、現在の位置にやってくるには1億年ほどかかる計算になります。
これは少々厄介な問題があることを示しています。星のスペクトルから、この星は太陽の9倍の質量を持つ主系列B型星で、若い星であると考えられています。このタイプの星は、通常2000万年以上の寿命を持つことができません。
Brownらは、もともと近接した二重星と離れた三番目の星からなる三重星として、我々の天の川銀河の中心付近で生まれたのではないかと提案しています。そして、 三番目の星がブラックホールに捕まり、近接二重星が高速度星として放り出されたとしています。銀河系を飛び出したあと、二重星は片方(または両方)が膨張し、他方を飲み込み、合体して新しい一つの星として再生したというのです。このような星は球状星団の中にみられ、'blue straggler(青いはぐれ星)'として知られています。
チームは現在、銀河系の外に遠ざかりつつある他の四つの高速度星の起源の解明に取り組んでいます。
- 'A Runaway Star Tells a Long Story', Sky and Telescope誌, 2010年11月号
2010年10月15日金曜日
太陽の320倍の重さを持つ星
1920年代より研究者の間では、宇宙で最も重い星の質量は太陽の100-120倍であると考えられてきました。1924年にアーサー・エディントン(Arthur Eddington)により、これより重い星は放出するエネルギーが重力を上回り星自身の外層を吹き飛ばしてしまうという自己制御機能が働く、という計算が示されていたからです。
その後、この「エディントン限界(Eddington limit)」は若干上方修正されています。最近では、ビッグバン直後の第一世代の星は重金属が含まれない水素とヘリウムのみで構成されているため、この上限値はずっと大きくなることも認識されています。星の最外層が輻射に対してより透明なため輻射圧を受けにくいためで、太陽の数百倍程度の質量まで成長することが可能と考えられています。
しかし、最近の観測結果は、このエディントン限界に疑問を投げかけています。
直接的な質量計測(分光食連星の重力測定)から、カシオペア座のHD15558が太陽の152±51倍、大マゼラン雲のR145が140±37倍の質量を持ち、これまでのところ宇宙で最も重い星とされています。しかし、これらの値に関してはまだ議論がなされている段階で、最も重い星のリストは新たな計測が行われるたびに順位が入れ替わっている状態です。
この7月には、太陽の265倍の重さを持つ星の発見と、その誕生時の質量は320太陽質量と推定されるという発表がなされ、そのニュースは世界中の主要メディアを駆け巡りました。
その星は大マゼラン雲の球状星団R136(タランチュラ星雲の中心)の最も明るい星であるR136a1です。太陽の9百万倍の光度で輝いており、数十年間に渡って観測が行われてきている星です。Paul Crowther(シェフィールド大学、イギリス)とその研究チームはハッブル宇宙望遠鏡とVLT(Very Large Telescope, ヨーロッパ南天天文台)のスペクトル観測データを用いて質量の推定を行いました。また、同研究チームはR136内に太陽の135-195倍の質量を持つ超巨大星が新たに三つ存在することも報告しています。彼らはイギリスの論文雑誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに、これら四つの星で10万個の星を持つ星団の輻射と星風の半分近くを担っていると報告しています。
しかしながら、他の大質量星の専門家は、この発表に対してまだ懐疑的です。なぜなら、発表された星の質量がこれまでの常識をはるかに超えていることと、質量の推定方法が星の光度と温度および星風の放出レートによる間接的な方法によるものであるからです。この明るさの星の挙動に関しては信頼できる知見は得られておらず、最も信頼のおける質量の測定法は、連星重力の力学的測定です。超巨大質量星の専門家、Don Figer氏(ロチェスター工科大学)いわく、「この分野はまだまだ不確定要素が多く、ほとんどの主張は後に覆されてきている」と述べており、ベルギーの専門研究員Yael Naze氏によると、この新たな質量計測はまだ信頼性に欠けるとのことです。
'A 320-Solar-Mass Star... Really?', Sky and Telescope誌, 2010年10月号より
その後、この「エディントン限界(Eddington limit)」は若干上方修正されています。最近では、ビッグバン直後の第一世代の星は重金属が含まれない水素とヘリウムのみで構成されているため、この上限値はずっと大きくなることも認識されています。星の最外層が輻射に対してより透明なため輻射圧を受けにくいためで、太陽の数百倍程度の質量まで成長することが可能と考えられています。
しかし、最近の観測結果は、このエディントン限界に疑問を投げかけています。
直接的な質量計測(分光食連星の重力測定)から、カシオペア座のHD15558が太陽の152±51倍、大マゼラン雲のR145が140±37倍の質量を持ち、これまでのところ宇宙で最も重い星とされています。しかし、これらの値に関してはまだ議論がなされている段階で、最も重い星のリストは新たな計測が行われるたびに順位が入れ替わっている状態です。
この7月には、太陽の265倍の重さを持つ星の発見と、その誕生時の質量は320太陽質量と推定されるという発表がなされ、そのニュースは世界中の主要メディアを駆け巡りました。
その星は大マゼラン雲の球状星団R136(タランチュラ星雲の中心)の最も明るい星であるR136a1です。太陽の9百万倍の光度で輝いており、数十年間に渡って観測が行われてきている星です。Paul Crowther(シェフィールド大学、イギリス)とその研究チームはハッブル宇宙望遠鏡とVLT(Very Large Telescope, ヨーロッパ南天天文台)のスペクトル観測データを用いて質量の推定を行いました。また、同研究チームはR136内に太陽の135-195倍の質量を持つ超巨大星が新たに三つ存在することも報告しています。彼らはイギリスの論文雑誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに、これら四つの星で10万個の星を持つ星団の輻射と星風の半分近くを担っていると報告しています。
しかしながら、他の大質量星の専門家は、この発表に対してまだ懐疑的です。なぜなら、発表された星の質量がこれまでの常識をはるかに超えていることと、質量の推定方法が星の光度と温度および星風の放出レートによる間接的な方法によるものであるからです。この明るさの星の挙動に関しては信頼できる知見は得られておらず、最も信頼のおける質量の測定法は、連星重力の力学的測定です。超巨大質量星の専門家、Don Figer氏(ロチェスター工科大学)いわく、「この分野はまだまだ不確定要素が多く、ほとんどの主張は後に覆されてきている」と述べており、ベルギーの専門研究員Yael Naze氏によると、この新たな質量計測はまだ信頼性に欠けるとのことです。
'A 320-Solar-Mass Star... Really?', Sky and Telescope誌, 2010年10月号より
2010年9月30日木曜日
海王星発見 一周年
2010年4月16日、海王星が1846年に発見されて以来初めて天球の周回を完了し、Johann Gallが9月23日にベルリン天文台から発見した位置へ戻ってきました。冥王星を除くと、太陽系の全ての惑星がその公転軌道を一周したことになります(実際に公転軌道の一周するのは2011年7月12日です。地球が動いていることによる逆行ループの影響で、見かけ上元の位置に戻ってきたようにみえています)。
海王星の発見は、天文学史上、最も有名な逸話のひとつです。パリ天文台のUrbain J.J. Le Verrierが天王星軌道の摂動から、海王星の存在と位置を正確に予測しました。この予測はイギリスのJohn Couch Adamsと共同の功績とされていましたが、最近見つかった文書によると実際のAdamsの寄与は少なく、1840年代のイギリスとフランスの軋轢を緩和するための外交的な配慮の一部であったことが明らかになっています。
海王星の発見は、天文学史上、最も有名な逸話のひとつです。パリ天文台のUrbain J.J. Le Verrierが天王星軌道の摂動から、海王星の存在と位置を正確に予測しました。この予測はイギリスのJohn Couch Adamsと共同の功績とされていましたが、最近見つかった文書によると実際のAdamsの寄与は少なく、1840年代のイギリスとフランスの軋轢を緩和するための外交的な配慮の一部であったことが明らかになっています。
- "Neptune's Returen" Sky and Telescope誌, 2010年8月号より
2010年6月8日火曜日
星になったチロ
星好きな方にはいわずもがな。の名著ですね。
国際的な知名度も高い「藤井旭」さんの著書。
天体写真家という枠を超えた活動もされていて'あぽん'のあこがれの的です。
これまた有名な愛犬チロとの心温まる思い出を綴られた一冊ですが、藤井さん自身の自伝的要素も含まれています。
ほのぼのとした口調で語られていますが、人間、本当に好きなことをやりつづけると、仲間もあつまり、思わぬことを成し遂げられてしまうということが、強烈なメッセージとして伝わってきました。
最近流行のガツガツとした自己啓蒙書とはひと味違った味わいのある本でした。
国際的な知名度も高い「藤井旭」さんの著書。
天体写真家という枠を超えた活動もされていて'あぽん'のあこがれの的です。
これまた有名な愛犬チロとの心温まる思い出を綴られた一冊ですが、藤井さん自身の自伝的要素も含まれています。
'出てくる人物も、古在由秀氏、村山定男氏、大野裕明氏、渡辺潤一氏と著名な方々ばかりで、逆に当時のコミュニティーのアットホームさがかいま見られます。
最近流行のガツガツとした自己啓蒙書とはひと味違った味わいのある本でした。
84年に刊行されていたのですが、実は今日初めて読みました。お恥ずかしい限りです。
2010年5月8日土曜日
Solar Dynamics Observatory (2)
先日、Solar Dynamics Observatory (SDO)のファーストライトの記事を紹介しましたが、SDO計画に関する記事があったのでお届けします。
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NASAの'Living With a Star Program'の最初のミッションであるSolar Dynamics Observatory (SDO)は、太陽活動の変動や地球への影響を調査します。約3.1tの衛星は2010年初めにフロリダのケープカナベラルからアトラスV型ロケットによって静止軌道に打ち上げられます。そのため、常時、太陽を観測しつつLas Cruces(New Mexico)の地上局と通信することができます。
SDOは太陽大気の小さなスケールの変動をさまざまな波長で同時に観測し、強力な磁場がどのように生成/成長するのかを調べます。また、蓄積された磁場エネルギーがどのように太陽風や高エネルギー粒子に変換されるのか、それらのプロセスが太陽のエネルギー放出量の変化にどのように影響するのかも調査されます。
SDOのメインミッションは5年間続く予定で、10年分の燃料が搭載されています。8.5億ドルを費やすこのミッションでは、膨大な量のデータが取得されます。SDOはハイビジョンの10倍の分解能で太陽全面画像を毎秒撮影します。4096x4096ピクセルのSDOの画像はIMAXムービーに匹敵する品質です。取得されるデータ量は一日当り1.5テラバイトで、音楽に換算すると約50万曲をダウンロードするのに相当します。
Atmospheric Imaging Assembly (AIA)は四つの望遠鏡を並べた装置で、コロナ外縁部を複数波長で同時撮影します。一秒角分解能で太陽直径の1.3倍の視野の画像を10秒ごとに10波長で取得します。AIAのデータは、太陽磁場の変動が、コロナを加熱しフレアを引き起こすエネルギーにどのようにして転換されるかを理解する為に役立ちます。
Extreme ultraviolet Variability Experiment (EVE)は、さまざまなタイムスケールでの極紫外線スペクトル強度の変化を測定します。
Helioseismic and Magnetic Imager (HMI)は、太陽の内部を観測し太陽磁場を作り出すプラズマ流をマッピングします。太陽を横断する音波を用いて太陽内部の画像を作成し、光球から現れる磁場の強度と方向も測定します。HMIで取得されるデータは、太陽活動の11年周期を引き起こすメカニズムへの知見を与え、磁場が黒点周辺に集中する過程を明らかにします。
SDOの計測機器は、太陽磁場とその地球への影響を探査します。SDOのデータは、太陽表面にかかるコロナループやフレア、突如数百万トンの物質が地球に向かって放出されるcoronal mass ejection等がどのようにして起きるのかを調査するために使用されます。このような宇宙天気をよりよく理解することは、電力利用や人工衛星、大気圏外へ挑む人々を守る助けとなるでしょう。
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NASAの'Living With a Star Program'の最初のミッションであるSolar Dynamics Observatory (SDO)は、太陽活動の変動や地球への影響を調査します。約3.1tの衛星は2010年初めにフロリダのケープカナベラルからアトラスV型ロケットによって静止軌道に打ち上げられます。そのため、常時、太陽を観測しつつLas Cruces(New Mexico)の地上局と通信することができます。
SDOは太陽大気の小さなスケールの変動をさまざまな波長で同時に観測し、強力な磁場がどのように生成/成長するのかを調べます。また、蓄積された磁場エネルギーがどのように太陽風や高エネルギー粒子に変換されるのか、それらのプロセスが太陽のエネルギー放出量の変化にどのように影響するのかも調査されます。
SDOのメインミッションは5年間続く予定で、10年分の燃料が搭載されています。8.5億ドルを費やすこのミッションでは、膨大な量のデータが取得されます。SDOはハイビジョンの10倍の分解能で太陽全面画像を毎秒撮影します。4096x4096ピクセルのSDOの画像はIMAXムービーに匹敵する品質です。取得されるデータ量は一日当り1.5テラバイトで、音楽に換算すると約50万曲をダウンロードするのに相当します。
Atmospheric Imaging Assembly (AIA)は四つの望遠鏡を並べた装置で、コロナ外縁部を複数波長で同時撮影します。一秒角分解能で太陽直径の1.3倍の視野の画像を10秒ごとに10波長で取得します。AIAのデータは、太陽磁場の変動が、コロナを加熱しフレアを引き起こすエネルギーにどのようにして転換されるかを理解する為に役立ちます。
Extreme ultraviolet Variability Experiment (EVE)は、さまざまなタイムスケールでの極紫外線スペクトル強度の変化を測定します。
Helioseismic and Magnetic Imager (HMI)は、太陽の内部を観測し太陽磁場を作り出すプラズマ流をマッピングします。太陽を横断する音波を用いて太陽内部の画像を作成し、光球から現れる磁場の強度と方向も測定します。HMIで取得されるデータは、太陽活動の11年周期を引き起こすメカニズムへの知見を与え、磁場が黒点周辺に集中する過程を明らかにします。
SDOの計測機器は、太陽磁場とその地球への影響を探査します。SDOのデータは、太陽表面にかかるコロナループやフレア、突如数百万トンの物質が地球に向かって放出されるcoronal mass ejection等がどのようにして起きるのかを調査するために使用されます。このような宇宙天気をよりよく理解することは、電力利用や人工衛星、大気圏外へ挑む人々を守る助けとなるでしょう。
- 'NASA sets its sights on the Sun', Laura Layton & Dean Pesnell, Sky and Telescope誌, 2010 1月号
2010年5月4日火曜日
宇宙で最初の銀河を探せ(4)
James Webb宇宙望遠鏡
James Webb宇宙望遠鏡は、スピッツァより大きく、ハッブルよりも低温に冷却されます。巨大な遮光板に隠れ宇宙空間に放熱することで、自然と-225℃に保たれます。巨大なミラーと冷却の恩恵で、ビッグバンの2.5から4億年後に生まれたと考えられている最初の銀河を検出するのに必要な感度を持ち得ます。
James Webb宇宙望遠鏡の建設には大きな技術的なハードルがいくつか存在します。ハッブルのように太陽光の中に出入りするので、温度を一定に保つためヒーターを用います。スピッツァは常に地球の影に入るsolar drift away軌道に打ち上げられており、年々1000マイルづつ地球から離れていっています。スピッツァは地球から離れていくことで、地球の影というシールドを使うことができているのです。
James Webb宇宙望遠鏡は、テニスコートほどもある遮光板の影に入るようになっています。二つの理由から遮光板は五つの層を持っています。一つ目は、層と層の間から熱を逃がせること。二つ目は、微小隕石によって遮光板に穴があけられた場合で も、一直線の穴になりにくく、主鏡に日射が入りにくいことです。また、地球から距離が100万マイルのラグランジュ2(L2)ポイント周辺の特別な軌道に打ち上げられる予定です。通常、地球より太陽から遠くに位置する軌道では、公転周期は地球の一年より若干長めで、スピッツァのように少しずつ地球から離れていきます。しかし、L2ポイントでは太陽と地球の重力が加算されるため、太陽と地球、およびL2ポイントは常に一直線になります。Webb望遠鏡の遮光板は、太陽からの直射はもちろんのこと、地球や月の明るい部分からの散乱光からも望遠鏡を守ります。Webb望遠鏡は常に真夜中の空に滞在することになります。
現在、最も大きなロケットの幅は5メートルです。そのため、6.5メートルの主鏡を持つWebb望遠鏡を打ち上げるためには新たな技術開発が必要です。主鏡は、独立に可動する18個のセグメントからなります。ロケットのサイズを超えるため、最外周に位置するセグメントは折り畳み式になっています。遮光板も主鏡の周りに折り畳まれます。打ち上げ後、太陽電池パネルが展開され望遠鏡に電力が供給されます。通信用アンテナが地球に向けられ、望遠鏡と宇宙船が分離されます。最後に副反射鏡が三本足のスパイダーに支えられ、主鏡が完全に展開します。全てが配置されると望遠鏡は明るい星に向けられ、18枚のセグメントが一つの焦点を結ぶようピント調整が行われます。
これらの全ての技術開発はコストに跳ね返ってきます。運用終了までのすべてのコストのうちNASAが50億ドルを負担し、残りをヨーロッパおよびカナダが負担します。1990年代後半の試算では、技術開発、設計および打ち上げ後の運用経費を含まない建設費用は5−10億ドル程度でした。しかし、この建設経費だけでも、現在までに試算の倍を費やしています。増加の原因は、Webb望遠鏡が軌道に乗った時に正しく動作することを保証するための厳格なテストプログラムによるものです。現在までの建設コストは、インフレ補正をし会計処理を合わせたハッブルの建設コストに匹敵します。Webbプロジェクトは、独立した審査の後、実施段階に移行し、NASAはその予算とスケジュールを連邦議会に提出します。
多目的望遠鏡
James Webb宇宙望遠鏡はハッブルとスピッツァの後継にあたります。ハッブルのように、ヨーロッパとカナダの宇宙局との大型の国際協力を代表する存在です。当初の目的は最初の銀河を検出することでしたが、ほぼ全ての天文学的な問題の解決に寄与できる多目的観測装置でもあります。
星や惑星は、ガスとちりの雲の中での重力と角運動量、圧力、磁場の複雑な相互作用の下、生まれます。宇宙塵は星間雲や星が生まれる場所(M16のように暗黒星雲を伴うような星雲)からの紫外線や可視光をほぼ隠してしまいます。赤外線はそのような塵を透過し、生まれつつある星を見ることができます。星は晩年には惑星状星雲を形作ります。周辺の円盤状構造を星が加熱するため、赤外線での放射が増大します。赤外線での高感度、高分解能の観測が可能なWebb望遠鏡は星や惑星状星雲がどのように生まれるかを調査する強力なツールとなるでしょう。
ハッブルやスピッツァのように、Webbも世界中の多くの天文学者によって使われ、美しい画像をもたらしてくれるでしょう。我々が想像もしなかった重要な発見が行われるかもしれません。
James Webb宇宙望遠鏡は、スピッツァより大きく、ハッブルよりも低温に冷却されます。巨大な遮光板に隠れ宇宙空間に放熱することで、自然と-225℃に保たれます。巨大なミラーと冷却の恩恵で、ビッグバンの2.5から4億年後に生まれたと考えられている最初の銀河を検出するのに必要な感度を持ち得ます。
James Webb宇宙望遠鏡の建設には大きな技術的なハードルがいくつか存在します。ハッブルのように太陽光の中に出入りするので、温度を一定に保つためヒーターを用います。スピッツァは常に地球の影に入るsolar drift away軌道に打ち上げられており、年々1000マイルづつ地球から離れていっています。スピッツァは地球から離れていくことで、地球の影というシールドを使うことができているのです。
James Webb宇宙望遠鏡は、テニスコートほどもある遮光板の影に入るようになっています。二つの理由から遮光板は五つの層を持っています。一つ目は、層と層の間から熱を逃がせること。二つ目は、微小隕石によって遮光板に穴があけられた場合で も、一直線の穴になりにくく、主鏡に日射が入りにくいことです。また、地球から距離が100万マイルのラグランジュ2(L2)ポイント周辺の特別な軌道に打ち上げられる予定です。通常、地球より太陽から遠くに位置する軌道では、公転周期は地球の一年より若干長めで、スピッツァのように少しずつ地球から離れていきます。しかし、L2ポイントでは太陽と地球の重力が加算されるため、太陽と地球、およびL2ポイントは常に一直線になります。Webb望遠鏡の遮光板は、太陽からの直射はもちろんのこと、地球や月の明るい部分からの散乱光からも望遠鏡を守ります。Webb望遠鏡は常に真夜中の空に滞在することになります。
現在、最も大きなロケットの幅は5メートルです。そのため、6.5メートルの主鏡を持つWebb望遠鏡を打ち上げるためには新たな技術開発が必要です。主鏡は、独立に可動する18個のセグメントからなります。ロケットのサイズを超えるため、最外周に位置するセグメントは折り畳み式になっています。遮光板も主鏡の周りに折り畳まれます。打ち上げ後、太陽電池パネルが展開され望遠鏡に電力が供給されます。通信用アンテナが地球に向けられ、望遠鏡と宇宙船が分離されます。最後に副反射鏡が三本足のスパイダーに支えられ、主鏡が完全に展開します。全てが配置されると望遠鏡は明るい星に向けられ、18枚のセグメントが一つの焦点を結ぶようピント調整が行われます。
これらの全ての技術開発はコストに跳ね返ってきます。運用終了までのすべてのコストのうちNASAが50億ドルを負担し、残りをヨーロッパおよびカナダが負担します。1990年代後半の試算では、技術開発、設計および打ち上げ後の運用経費を含まない建設費用は5−10億ドル程度でした。しかし、この建設経費だけでも、現在までに試算の倍を費やしています。増加の原因は、Webb望遠鏡が軌道に乗った時に正しく動作することを保証するための厳格なテストプログラムによるものです。現在までの建設コストは、インフレ補正をし会計処理を合わせたハッブルの建設コストに匹敵します。Webbプロジェクトは、独立した審査の後、実施段階に移行し、NASAはその予算とスケジュールを連邦議会に提出します。
多目的望遠鏡
James Webb宇宙望遠鏡はハッブルとスピッツァの後継にあたります。ハッブルのように、ヨーロッパとカナダの宇宙局との大型の国際協力を代表する存在です。当初の目的は最初の銀河を検出することでしたが、ほぼ全ての天文学的な問題の解決に寄与できる多目的観測装置でもあります。
星や惑星は、ガスとちりの雲の中での重力と角運動量、圧力、磁場の複雑な相互作用の下、生まれます。宇宙塵は星間雲や星が生まれる場所(M16のように暗黒星雲を伴うような星雲)からの紫外線や可視光をほぼ隠してしまいます。赤外線はそのような塵を透過し、生まれつつある星を見ることができます。星は晩年には惑星状星雲を形作ります。周辺の円盤状構造を星が加熱するため、赤外線での放射が増大します。赤外線での高感度、高分解能の観測が可能なWebb望遠鏡は星や惑星状星雲がどのように生まれるかを調査する強力なツールとなるでしょう。
ハッブルやスピッツァのように、Webbも世界中の多くの天文学者によって使われ、美しい画像をもたらしてくれるでしょう。我々が想像もしなかった重要な発見が行われるかもしれません。
- 'Finding the First Galaxies', Jonathan P. GARDNER, Sky & Telescope 2010年1月
宇宙で最初の銀河を探せ(3)
深宇宙への技術
コンピュータモデルは銀河合体による進化の様子を示してくれます。しかし、やはり実際に初期の宇宙でこのプロセスがどのように起こっているかを観測する必要があります。それを実現する一つの手段はアインシュタインの一般相対性理論で予言されているテクニックを利用することです。銀河団中のダークマターは重力レンズの役割をし、背後の天体の明るさを10倍以上に増加させることができます。天文学者はこのテクニックを使って非常に遠くて暗い銀河をいくつか発見しています。しかし、重力レンズが有効な範囲は小さく、統計的に有意な数のサンプルを集めることは困難です。
Ultra-Deep Fieldは四つの可視光広帯域フィルターとWFC3の三つの近赤外フィルターで撮影されています。遠方の銀河からの紫外線は、宇宙膨張によって近赤外線にまで赤方偏移します。銀河間ガスによって紫外線の短波長側での光が吸収されるため、高い赤方偏移を示す銀河はUltra-Deep Fieldの短波長画像から消えていきます。そのため、波長ごとの画像で銀河がどのように消えていくかを調査することで、赤方偏移を測ることができます。しかし、もっとも赤方偏移の大きな銀河では、紫外線はハッブルで撮影可能な近赤外線よりも長い波長へ移ってしまいます。そのため、重力レンズを使ってもハッブル望遠鏡では見ることができません。
赤外線は熱放射です。そのため、望遠鏡自体の熱に邪魔されないように冷却されている必要があります。冷却されていない望遠鏡による赤外線観測は、電球を詰め込んだ望遠鏡で可視光観測を行うようなものです。望遠鏡自身が観測しようとする光を発してしまっているのです。
低い地球周回軌道において太陽光による温度変化の影響を抑えるため、ハッブル望遠鏡はヒーターによって室温(25℃)に保たれています。ハッブルは近赤外の観測能力を持っているのですが、この温度の問題により長い波長の感度が制限されています。2003年にNASAによって打ち上げられたスピッツァ宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)は液体ヘリウムを使用した赤外線望遠鏡で、絶対温度11度(-262℃)に冷却されており、ハッブルが持ち得なかった赤外線への感度を有しています。そのスピッツァ望遠鏡をUltra-Deepフィールドへ向けた際に、いくつかの遠方銀河が赤外線で明るく光っているということが明らかになり、点音楽者を驚かせました。
銀河において最初の星々が形成されたとき、その光のほとんどは最も大きな星からのものに占められます。それらの星は太陽の30-50倍の重さを持ち、非常に熱く、ほとんどのエネルギーを紫外線で放射します。しかし、明るく光っている代償としてその寿命は短く、僅か数百年で水素燃料を使い果たし、超新星爆発を起こしてしまいます。その後、太陽のような小さな星が銀河の光のほとんどを占めるようになります。これらの小さな星は大きな星より冷たく、ほとんどのエネルギーを紫外線ではなく可視光もしくは近赤外線で放出します。
Ultra-Deep Fieldの遠方銀河からの紫外線は可視光の端まで、可視光は赤外線まで赤方偏移します。スピッツァ望遠鏡による観測より、これらの銀河で形成されているのは紫外線の強い第一世代の星ではなく、4-5億歳のより古い星が大勢を占めているということが明らかになりました。これらの銀河のいくつかは、宇宙年齢10億年以内に形成されているはずで、その紫外線放射はハッブルで観測できない赤外線にまで赤方偏移しています。
スピッツァ望遠鏡は赤外線を検出するのに十分なほど冷却されていますが、主鏡の直径は85センチしかありません。そのため、微弱な銀河に対する感度は次の二つの点で限られています。一つはUltra-Deep Field中の銀河を検出するのに十分な集光能力がないという点。もう一つは望遠鏡の分解能が(波長/口径)できまるため、スピッツァーによる小さな主鏡で長い波長の観測では銀河一つ一つを分解でないという点です。
James Webb宇宙望遠鏡へ続く
コンピュータモデルは銀河合体による進化の様子を示してくれます。しかし、やはり実際に初期の宇宙でこのプロセスがどのように起こっているかを観測する必要があります。それを実現する一つの手段はアインシュタインの一般相対性理論で予言されているテクニックを利用することです。銀河団中のダークマターは重力レンズの役割をし、背後の天体の明るさを10倍以上に増加させることができます。天文学者はこのテクニックを使って非常に遠くて暗い銀河をいくつか発見しています。しかし、重力レンズが有効な範囲は小さく、統計的に有意な数のサンプルを集めることは困難です。
Ultra-Deep Fieldは四つの可視光広帯域フィルターとWFC3の三つの近赤外フィルターで撮影されています。遠方の銀河からの紫外線は、宇宙膨張によって近赤外線にまで赤方偏移します。銀河間ガスによって紫外線の短波長側での光が吸収されるため、高い赤方偏移を示す銀河はUltra-Deep Fieldの短波長画像から消えていきます。そのため、波長ごとの画像で銀河がどのように消えていくかを調査することで、赤方偏移を測ることができます。しかし、もっとも赤方偏移の大きな銀河では、紫外線はハッブルで撮影可能な近赤外線よりも長い波長へ移ってしまいます。そのため、重力レンズを使ってもハッブル望遠鏡では見ることができません。
赤外線は熱放射です。そのため、望遠鏡自体の熱に邪魔されないように冷却されている必要があります。冷却されていない望遠鏡による赤外線観測は、電球を詰め込んだ望遠鏡で可視光観測を行うようなものです。望遠鏡自身が観測しようとする光を発してしまっているのです。
低い地球周回軌道において太陽光による温度変化の影響を抑えるため、ハッブル望遠鏡はヒーターによって室温(25℃)に保たれています。ハッブルは近赤外の観測能力を持っているのですが、この温度の問題により長い波長の感度が制限されています。2003年にNASAによって打ち上げられたスピッツァ宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)は液体ヘリウムを使用した赤外線望遠鏡で、絶対温度11度(-262℃)に冷却されており、ハッブルが持ち得なかった赤外線への感度を有しています。そのスピッツァ望遠鏡をUltra-Deepフィールドへ向けた際に、いくつかの遠方銀河が赤外線で明るく光っているということが明らかになり、点音楽者を驚かせました。
銀河において最初の星々が形成されたとき、その光のほとんどは最も大きな星からのものに占められます。それらの星は太陽の30-50倍の重さを持ち、非常に熱く、ほとんどのエネルギーを紫外線で放射します。しかし、明るく光っている代償としてその寿命は短く、僅か数百年で水素燃料を使い果たし、超新星爆発を起こしてしまいます。その後、太陽のような小さな星が銀河の光のほとんどを占めるようになります。これらの小さな星は大きな星より冷たく、ほとんどのエネルギーを紫外線ではなく可視光もしくは近赤外線で放出します。
Ultra-Deep Fieldの遠方銀河からの紫外線は可視光の端まで、可視光は赤外線まで赤方偏移します。スピッツァ望遠鏡による観測より、これらの銀河で形成されているのは紫外線の強い第一世代の星ではなく、4-5億歳のより古い星が大勢を占めているということが明らかになりました。これらの銀河のいくつかは、宇宙年齢10億年以内に形成されているはずで、その紫外線放射はハッブルで観測できない赤外線にまで赤方偏移しています。
スピッツァ望遠鏡は赤外線を検出するのに十分なほど冷却されていますが、主鏡の直径は85センチしかありません。そのため、微弱な銀河に対する感度は次の二つの点で限られています。一つはUltra-Deep Field中の銀河を検出するのに十分な集光能力がないという点。もう一つは望遠鏡の分解能が(波長/口径)できまるため、スピッツァーによる小さな主鏡で長い波長の観測では銀河一つ一つを分解でないという点です。
James Webb宇宙望遠鏡へ続く
- 'Finding the First Galaxies', Jonathan P. GARDNER, Sky & Telescope 2010年1月
宇宙で最初の銀河を探せ(2)
銀河の形成
ビッグバンの後、宇宙は膨張し冷却され、成長する暗黒物質(ダークマター)の塊による重力の高まりとともに、水素とヘリウムでみたされていました。理論によると、ビッグバンの一億年後(赤方偏移=30)にまず大きな星が生まれました。これらの星は早々に超新星爆発を起こし、比較的小さなダークマターの塊を全て吹き飛ばすため、周辺で星が作られる可能性は無くなります。しかし、2.5億年後(赤方偏移=16)には、さまざまな大きさでガス雲の収縮が始まり急速に星が作られだします。そして、最初の銀河が誕生します。
Hubble Ultra-Deep Fieldにみられる初期銀河は、現在の標準的な銀河より小さく、球状星団より大きい程度です。それらは列車事故の残骸のような小さくてたわいない塊の集合に過ぎません。その質量の測定は困難ですが、われわれの天の川銀河より小さいことは明らかです。しかし、これらの銀河が通常の銀河に進化していき、銀河のハッブル分類を形作っていくのです。
銀河は段階的な合体によって成長していきます。比較的近傍の銀河の中には明らかに重力的な相互作用を起こし、潮汐力で引きはがされたガス/星によるしっぽのような長い構造やリング状構造が見られるものがあり、最近の銀河間衝突の結果であると考えられています。数億個の星の重力的な相互作用を追跡するスーパーコンピュータによるシミュレーションによると、二つの巨大渦巻き銀河が衝突すると、観測されている合体銀河のような形状になることが示されています。そのシミュレーションでは、最終的に銀河は楕円銀河になっていきます。
渦巻き銀河や楕円銀河は、宇宙の歴史を通じて合体を繰り返すことにより成長します。渦巻き銀河は合体により楕円銀河となっていき、楕円銀河は乙女座銀河団のM87のような、銀河団の中心に位置する巨大銀河となっていきます。このようにして、初期宇宙で形成された小銀河は今日みられるような巨大な銀河になっていったのです。数百の小銀河が合体して天の川銀河が形作られたのです。宇宙で最初の銀河が暗いのは、遠方にあるからだけでなく、小さいことも原因の一つです。
ビッグバンの後、宇宙は膨張し冷却され、成長する暗黒物質(ダークマター)の塊による重力の高まりとともに、水素とヘリウムでみたされていました。理論によると、ビッグバンの一億年後(赤方偏移=30)にまず大きな星が生まれました。これらの星は早々に超新星爆発を起こし、比較的小さなダークマターの塊を全て吹き飛ばすため、周辺で星が作られる可能性は無くなります。しかし、2.5億年後(赤方偏移=16)には、さまざまな大きさでガス雲の収縮が始まり急速に星が作られだします。そして、最初の銀河が誕生します。
Hubble Ultra-Deep Fieldにみられる初期銀河は、現在の標準的な銀河より小さく、球状星団より大きい程度です。それらは列車事故の残骸のような小さくてたわいない塊の集合に過ぎません。その質量の測定は困難ですが、われわれの天の川銀河より小さいことは明らかです。しかし、これらの銀河が通常の銀河に進化していき、銀河のハッブル分類を形作っていくのです。
銀河は段階的な合体によって成長していきます。比較的近傍の銀河の中には明らかに重力的な相互作用を起こし、潮汐力で引きはがされたガス/星によるしっぽのような長い構造やリング状構造が見られるものがあり、最近の銀河間衝突の結果であると考えられています。数億個の星の重力的な相互作用を追跡するスーパーコンピュータによるシミュレーションによると、二つの巨大渦巻き銀河が衝突すると、観測されている合体銀河のような形状になることが示されています。そのシミュレーションでは、最終的に銀河は楕円銀河になっていきます。
渦巻き銀河や楕円銀河は、宇宙の歴史を通じて合体を繰り返すことにより成長します。渦巻き銀河は合体により楕円銀河となっていき、楕円銀河は乙女座銀河団のM87のような、銀河団の中心に位置する巨大銀河となっていきます。このようにして、初期宇宙で形成された小銀河は今日みられるような巨大な銀河になっていったのです。数百の小銀河が合体して天の川銀河が形作られたのです。宇宙で最初の銀河が暗いのは、遠方にあるからだけでなく、小さいことも原因の一つです。
- 'Finding the First Galaxies', Jonathan P. GARDNER, Sky & Telescope 2010年1月
宇宙で最初の銀河を探せ(1)
ハッブル望遠鏡はこれまで発見されたなかで最も遠方にある銀河の撮影に成功しました。しかしながら、宇宙で最初の銀河を見るためには、もっと遠くを観測しなければなりません。
2009年5月、ハッブル宇宙望遠鏡に二つの新しいカメラが取り付けられ、より強力な望遠鏡となりました。そのうちのひとつがWFC3(Wide-Field Camera3)です。ハッブル望遠鏡の近赤外域の感度と視野を拡大し、遠方銀河の探査能力はこれまでの20倍に跳ね上がりました。
WFC3がその性能を発揮するのに、それほど時間はかかりませんでした。 カリフォルニア大学サンタクルス校のGarth IllingworthとRychard Bouwensらのチームは、WFC3を用いて非常に遠方の5つの銀河を発見しました。それらはビッグバンから6億年(赤方偏移8.5)たったころの銀河の進化に関する知見をもたらします。
これらの初期の銀河は、これまでに既知の天体の中で最も遠方にあると認定されたガンマ線バースト090423とほぼ同じ距離に位置しています。しかしながら、記録を破ることに興味があるわけではありません。あくまで、銀河がどのように形成され、今日みられるような巨大な星の集合体にまで成長するのかを理解したいのです。
遠方の銀河の研究は、天空の比較的空虚な領域を長時間撮影することによって行います。2004年、ハッブル望遠鏡を南天の「ろ座」の一角に向け500時間にも及ぶ長時間撮影が行れました。これがHubble Ultra-Deep Fieldです。その中には可視光で最も暗くて遠い銀河が含まれています。最近、同じ領域に対しWFC3での48時間の撮影が行われ、近赤外線までカバーできています。
Ultra-Deep Fieldや他の銀河サーベイから、宇宙の星形成の歴史が調査されています。それによると、星形成のピークは今から約100億年前(宇宙年齢の1/4)で、現在の15倍の割合で星が量産されていたと考えられています。さらに最初の星や銀河が誕生するころまで時間を遡れば、星形成の割合はゼロになるはずです。しかしながらWFC3の観測でも、星形成の割合は現在とほぼ同じというところにしか到達できていません。ハッブルの最新技術をもってしても、最初の銀河の誕生までを明らかにするにはいたっていないのです。
問題は二つあります。一つは最初の銀河はハッブルや既存の他の望遠鏡にとって暗すぎること。もう一つは、宇宙の膨張のため可視光がハッブルの近赤外での感度外にまで赤方偏移してしまうことです。そこで、NASAは宇宙で最初の銀河を観測するために、2014年の打ち上げを目指してJames Webb宇宙望遠鏡の開発を進めています。この望遠鏡はハッブルの2.4メートルを大きく上回る6.5メートルの口径をもち、大きく赤方偏移した宇宙で最初の銀河を捉えるために赤外線の観測に特化しています。
- 'Finding the First Galaxies', Jonathan P. GARDNER, Sky & Telescope 2010年1月
2010年4月29日木曜日
ハッブル宇宙望遠鏡20周年
1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が20周年を迎えました。NASAのサイトには20周年を記念して、さまざまな画像がアップされています。
そのうちの一つが、南天の著名なカリーナ星雲の一部を、昨年搭載された新しいカメラWFC3で撮影した右の画像です。カリーナ星雲は太陽の100倍の質量を持つ超巨大星エータ・カリーナといくつかの星団(Tr 14, 16, etc...)が母体のガス雲を蒸発(電離)させながら輝いている南天の印象的な星雲で、ガスの濃い部分を残して薄い部分が選択的に電離していった結果、このような柱状の構造が形作られました。
画像にはハービック・ハロー天体 HH901とHH902が写っています。ハービック・ハロー天体は太陽の二倍程度の星が生まれる時に出すジェットで、画像ではジェットと周囲のガスとの間に発生している衝撃波による傘状の発光も鮮明に見て取れます。
この天体の存在が、今でもここで星が生まれていることを示しています。
打ち上げ当初のピンぼけ問題を初めとして、さまざまな困難を克服して結果を出し続けているハッブル望遠鏡です。近年は老朽化が激しかったものの、2009年5月に大規模な改修を行い、新たに二つのカメラを搭載して活動を続けています。
次世代のJames Webb宇宙望遠鏡との関係も気になりますが、まだまだ現役でがんばって行くんでしょうね。
そのうちの一つが、南天の著名なカリーナ星雲の一部を、昨年搭載された新しいカメラWFC3で撮影した右の画像です。カリーナ星雲は太陽の100倍の質量を持つ超巨大星エータ・カリーナといくつかの星団(Tr 14, 16, etc...)が母体のガス雲を蒸発(電離)させながら輝いている南天の印象的な星雲で、ガスの濃い部分を残して薄い部分が選択的に電離していった結果、このような柱状の構造が形作られました。
画像にはハービック・ハロー天体 HH901とHH902が写っています。ハービック・ハロー天体は太陽の二倍程度の星が生まれる時に出すジェットで、画像ではジェットと周囲のガスとの間に発生している衝撃波による傘状の発光も鮮明に見て取れます。
この天体の存在が、今でもここで星が生まれていることを示しています。
打ち上げ当初のピンぼけ問題を初めとして、さまざまな困難を克服して結果を出し続けているハッブル望遠鏡です。近年は老朽化が激しかったものの、2009年5月に大規模な改修を行い、新たに二つのカメラを搭載して活動を続けています。
次世代のJames Webb宇宙望遠鏡との関係も気になりますが、まだまだ現役でがんばって行くんでしょうね。
2010年4月23日金曜日
Solar Dynamics Observatory
BBCでNASAの太陽探査衛星(Solar Dynamics Observatory; SDO)のファーストライトのニュースが紹介されていました(BBCの記事)。
アナウンサーがNASAのページもぜひ見るようしつこく勧めていたので見てみました。
SDOプロジェクト(NASA)のサイト
すごい!プロミネンスが立ち上がる様子がクローズアップで動画で見られます。
確かに印象的でお薦めです。
SDOに関しては、また改めて紹介しますね。
アナウンサーがNASAのページもぜひ見るようしつこく勧めていたので見てみました。
SDOプロジェクト(NASA)のサイト
すごい!プロミネンスが立ち上がる様子がクローズアップで動画で見られます。
確かに印象的でお薦めです。
SDOに関しては、また改めて紹介しますね。
2010年4月9日金曜日
2010年のスペースミッション
2010年の宇宙探査の主なイベントカレンダーは以下の通りです。
-----
1月
2009年12月9日に打ち上げられたWISE赤外線探査衛星の軌道上でのテストが終了
2月
SDO (Solar Dynaics Observatory)が静止軌道を離脱し太陽探査へ向かう
5月
金星気候探査衛星「あかつき」が打ち上げ予定
6月
「はやぶさ」が7年間の旅を終え帰還予定。小惑星表面のサンプルとともにオーストラリアの砂漠に着陸する。
7月
2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸(!)を目指すRosetta衛星が大型小惑星21 Lutetiaに接近。11月に最後の地球接近通過をおこなう予定。
10月
Deep Impact衛星が再利用され(EPOXIミッション)、103P/Hartley-2彗星探査のため近傍に到着する。
-----
その他にも多くの探査機が現在も活動を続けています。
地球周回軌道:
すごい時代になったものですね。
参考: 'Space Astronomy in 2010' by Jonathan McDowell, Sky & Telescope誌2月号
-----
1月
2009年12月9日に打ち上げられたWISE赤外線探査衛星の軌道上でのテストが終了
2月
SDO (Solar Dynaics Observatory)が静止軌道を離脱し太陽探査へ向かう
5月
金星気候探査衛星「あかつき」が打ち上げ予定
6月
「はやぶさ」が7年間の旅を終え帰還予定。小惑星表面のサンプルとともにオーストラリアの砂漠に着陸する。
7月
2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸(!)を目指すRosetta衛星が大型小惑星21 Lutetiaに接近。11月に最後の地球接近通過をおこなう予定。
10月
Deep Impact衛星が再利用され(EPOXIミッション)、103P/Hartley-2彗星探査のため近傍に到着する。
-----
その他にも多くの探査機が現在も活動を続けています。
地球周回軌道:
- 可視光、赤外線、紫外線観測衛星
- ハッブル宇宙望遠鏡, MOST, COROT, あかり(AKARI)
- X線観測衛星
- Chandra, XMM-Newton, すざく(SUZAKU), Rossi XTE, MAXIパッケージ(国際宇宙ステーション)
- ガンマ線観測衛星
- Fermi, Integral
- 太陽観測衛星
- SDO, Koronas-Foton, TRACE, SORCE, RHESSI, ひので, ESA Solarパッケージ(国際宇宙ステーション)
- その他
- IBEX(太陽系境界のマッピング)、PAMELAミッション(Rewurs-DK衛星; 宇宙線の観測装置)
- 太陽観測衛星(L1)
- SOHO, ACE
- 宇宙背景放射(L2)
- WMAP, Planck
- 遠赤外線観測(L2)
- Herschel
- 月面探査
- Lunar Reconnaissance Orbiter
- Kepler (太陽系外惑星探査)
- Spitzer (赤外線観測)
- STEREO A, B (太陽観測)
- Rosetta (彗星探査)
- EPOXI (彗星探査)
- Stardust (彗星探査)
- Dawn (小惑星ベスタ、セレス)
- Messenger (水星探査)
- New Horizons (冥王星、カイパーベルト)
- 表面
- Opportunity, Spirit(稼働不能)
- 周回軌道
- Mars Odyssey, Mars Express, Mars Reconnaissance Orbiter
- Venus Express
- Cassini 13年を経てなお稼働中
- ボイジャー1号、2号
すごい時代になったものですね。
参考: 'Space Astronomy in 2010' by Jonathan McDowell, Sky & Telescope誌2月号
2010年2月3日水曜日
2010年1月15日金曜日
百人一酒
古本屋で懐かしいタイトルを見つけました。
「百人一酒」(俵万智)。
数年前にウェブで連載されていて、お酒にまつわる話が綴られていていました。
本には朝日新聞大阪の夕刊に連載とあるので、ウェブ版は再掲だったのですね。自分がお酒がすきなこともあり愛読していました。
改めて読み直してみて、俵万智さんの文体が軽妙で、やはり楽しく読めました。
本の最後に「なんだかお酒が飲みたくなってくだされば、本望です」とありますが、私、我慢できなくなり焼酎のお湯割を晩酌としていただいてしまいました。
もちろん、お湯を先に注いで作りましたよ。鹿児島県人ですから、常識です。
思えば、若いころは「焼酎本来の味がわかるロック以外は認めない」などと思っていたのですが、「お湯割も香りが引き立っていいかも」などと思えるのは年のせいですかね。。。
引き出しがひとつ増えたと解釈しておきます。
2010年1月11日月曜日
ハーシェル始動
遠赤外/サブミリ波つながりでもうひと記事。
2009年5月14日に打ち上げられたハーシェル衛星(Herschel Space Observatory)で取得された最初の画像がESA(European Space Agency)により公開されました。口径3.5mの同衛星は、現時点で最も大きな宇宙望遠鏡です。開発中のコードネームFIRST(Far Infrared and Sub-millimetre Telescope)が示しているように、遠赤外線およびサブミリ波帯を観測するための望遠鏡です。
公開されたのは冷たい星雲の素晴らしいモザイク画像です。下の画像は、天の川の中心線付近の南十字星のなかの差し渡し2度の領域のもので、青が波長70ミクロン、緑が160ミクロン、赤が250と350、500ミクロンを重ね合わせたものとして合成した画像です。
遠赤外/サブミリ波のイメージとしては初めての鮮明さでとられた画像です。
可視光では暗黒星雲として見える星雲ですが、遠赤外/サブミリ波では輝く星雲のように見えています。光っているのは、ほとんどが非常に冷たい星間塵(ちり)が発する微弱な熱放射です。
このような星雲はこの波長ではほぼ透明で、所々に紐につながれた真珠のような明るい点が見られますが(中心の白い四角の中)、最も密度が高い部分にあたり、冷たいフィラメントに深く埋もれた星形成が起きている領域が捉えられています。
うーん、美しい。
2009年5月14日に打ち上げられたハーシェル衛星(Herschel Space Observatory)で取得された最初の画像がESA(European Space Agency)により公開されました。口径3.5mの同衛星は、現時点で最も大きな宇宙望遠鏡です。開発中のコードネームFIRST(Far Infrared and Sub-millimetre Telescope)が示しているように、遠赤外線およびサブミリ波帯を観測するための望遠鏡です。
公開されたのは冷たい星雲の素晴らしいモザイク画像です。下の画像は、天の川の中心線付近の南十字星のなかの差し渡し2度の領域のもので、青が波長70ミクロン、緑が160ミクロン、赤が250と350、500ミクロンを重ね合わせたものとして合成した画像です。
遠赤外/サブミリ波のイメージとしては初めての鮮明さでとられた画像です。
可視光では暗黒星雲として見える星雲ですが、遠赤外/サブミリ波では輝く星雲のように見えています。光っているのは、ほとんどが非常に冷たい星間塵(ちり)が発する微弱な熱放射です。
このような星雲はこの波長ではほぼ透明で、所々に紐につながれた真珠のような明るい点が見られますが(中心の白い四角の中)、最も密度が高い部分にあたり、冷たいフィラメントに深く埋もれた星形成が起きている領域が捉えられています。
- Herschel's First Show (Sky and Telescope, 2010年1月号)
- http://www.skyandtelescope.com/community/skyblog/newsblog/63275062.html
うーん、美しい。
2010年1月7日木曜日
ALMA Progressing
以前、一緒に仕事をさせていただいていた望遠鏡がSky & Telescope誌に紹介されていました。
ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) は、波長350ミクロンから9ミリ(遠赤外線からミリ波帯)までを観測可能な望遠鏡です。口径12mおよび7mの望遠鏡66機を18.5kmまで展開した観測装置で、角分解能はハッブル望遠鏡の10倍に相当する0.02秒角を達成でき、完成すれば世界で最もパワフルなイメージング望遠鏡となります。
現在、南米チリのアンデス山脈の一角、標高5000mのチャナントール(Chafnantor)エリアで建設中ですが、その最初の12m望遠鏡(重さ100トン)がサイトに到着しました。
標高5000mというと、大気の厚さの約半分まで上ってきており(気圧570hPa)、大部分の水蒸気も見下ろす高度にあたります。そのため、大気の影響が極力抑えられ、装置の性能が遺憾なく発揮できると期待されています。
現在のプランでは、2010年初期に三基のアンテナで干渉計を形成したテストを行い、さらに数台を加えた構成で2011年の第二四半期からの部分的な科学運用をへて、2012年には全望遠鏡を完成させる予定です。
ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) は、波長350ミクロンから9ミリ(遠赤外線からミリ波帯)までを観測可能な望遠鏡です。口径12mおよび7mの望遠鏡66機を18.5kmまで展開した観測装置で、角分解能はハッブル望遠鏡の10倍に相当する0.02秒角を達成でき、完成すれば世界で最もパワフルなイメージング望遠鏡となります。
現在、南米チリのアンデス山脈の一角、標高5000mのチャナントール(Chafnantor)エリアで建設中ですが、その最初の12m望遠鏡(重さ100トン)がサイトに到着しました。
望遠鏡は、まず標高2900mにある山麓施設で組上げられ、さまざまなテストを経て、写真のような巨大な台車によって5000mの観測サイトへ運搬/設置されます。
標高5000mというと、大気の厚さの約半分まで上ってきており(気圧570hPa)、大部分の水蒸気も見下ろす高度にあたります。そのため、大気の影響が極力抑えられ、装置の性能が遺憾なく発揮できると期待されています。
現在のプランでは、2010年初期に三基のアンテナで干渉計を形成したテストを行い、さらに数台を加えた構成で2011年の第二四半期からの部分的な科学運用をへて、2012年には全望遠鏡を完成させる予定です。
- ALMA Progressing (Sky & Telescope 2009年1月号)
- 参考リンク: http://www.skyandtelescope.com/community/skyblog/newsblog/60925167.html
2010年1月5日火曜日
デジタル一眼を手に入れました
フジのFinpix S3Proです。
一世代前のものですが、そこそこの感度が良く、天体写真には向いていそうです。
ニコンFマウント対応なので以前使っていたNikomat用のレンズも使えます。
手持ちのレンズは20mm, 28mm, ??mm。
久しく遠ざかっていた(しし座流星群以来?)、天体写真への復帰です。
本格的にやるのは10年ぶりくらいですので、まずは固定で星景写真から。実家に封印されている望遠鏡一式を調達したら、ガイド撮影へステップアップします。その後はシュミカセを調達できるといいなあ。
ライブビューが無いのが残念ですが、レンズの無限遠を使っている間は明るいうちに合わせておけばいいので気にしないことにします。
一世代前のものですが、そこそこの感度が良く、天体写真には向いていそうです。
ニコンFマウント対応なので以前使っていたNikomat用のレンズも使えます。
手持ちのレンズは20mm, 28mm, ??mm。
久しく遠ざかっていた(しし座流星群以来?)、天体写真への復帰です。
本格的にやるのは10年ぶりくらいですので、まずは固定で星景写真から。実家に封印されている望遠鏡一式を調達したら、ガイド撮影へステップアップします。その後はシュミカセを調達できるといいなあ。
ライブビューが無いのが残念ですが、レンズの無限遠を使っている間は明るいうちに合わせておけばいいので気にしないことにします。
2010年1月4日月曜日
あけましておめでとうございます。
つい先日、国際天文年が始まった気がしていたのですが。。。
個人的には、日食も見られて(皆既でなく部分ですが)、デジタル一眼も手に入れ、久々に趣味の天文に戻る方向に舵を切った2009年でした。
今年は、実家に眠っている望遠鏡+赤道儀一式を手元に移し、星景・星野写真を中心に星空活動をしていきたいと考えています。
やりたいことは、、、いっぱいあって妄想でおなかいっぱいです。
ひとつひとつ、、、ですね。
個人的には、日食も見られて(皆既でなく部分ですが)、デジタル一眼も手に入れ、久々に趣味の天文に戻る方向に舵を切った2009年でした。
今年は、実家に眠っている望遠鏡+赤道儀一式を手元に移し、星景・星野写真を中心に星空活動をしていきたいと考えています。
やりたいことは、、、いっぱいあって妄想でおなかいっぱいです。
ひとつひとつ、、、ですね。
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